実印と印鑑 その2 実印の注意点と認印
実印と印鑑
その2 実印の注意点と認印
皆さんこんにちは。黒瀬英昭です。
今回は、前回に引き続き、実印と印鑑についてのお話をします。
実印についての注意点です。
実印は重要な印鑑です。前回にも書きましたが、実印は、ご自分できちんと保管して下さい。人に預けたりすると、悪用される可能性があります。
例えばBさんが、Aさんに無断でAさん名義の借用書を作り、Aさんの実印を押し、印鑑証明が添付されているとします。
この借用書をもとにAさんに対して、金を返せという裁判が起こされたとすると、本当は借金がなくても「Aさんには借金があるから返せ」という内容の判決となってしまう可能性があるので十分注意してください。
もう1点は、実印の使用方法です。実印は、前回お話したように、家を買うとといった、重大な場面で使われるものです。一度実印を押してしまうと、内容を変更するということは非常に難しくなります。
ですから、実印を押す際には、十分に考えてください。納得できない場合には実印を押さないということも重要です。少しでもおかしいと思ったら、すぐ実印を押さず、再度考えてみるということも重要です。
では、実印ではない認印は、注意がいらないかというと、そうはなりません。
例えば不動産の取引の場合、登記するためには実印が必要ですが、売買契約自体には、法律的には実印は必要ではありません。また、部屋を借りる場合は賃貸借契約をしますが、この賃貸借契約書も法律的には実印は必要ありません。
認印の場合でも一度押してしまうと内容を変更することは非常に難しくなります。
したがって、認印を押す場合でも、十分注意をすることが必要です
実は、我々弁護士が裁判について依頼を受ける場合、依頼を受けたことを裁判所に示すため、依頼される方に委任状という書類を書いてもらいますが、この委任状も、実印は不要で、認印でいいのです。
印鑑を押すべきかわからないときには、弁護士などの専門家にご相談下さい。